カジュアルオタクの備忘録

これはオタクになり切れなかったオタクの記録である。

―マルチ商法は突然に

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面白い話が降りかかってきたので、一旦騙されたふりをしてみた、という体験談です。

「久しぶりー🙌」

 

謎の個人LINEが飛んできて、宛先を見ると学生時代の同級生。

 

かれこれ10年近く会っても無ければ、連絡すら取ってない知人である。

 

一応当時は共に青春を過ごし、深い友情を築いた仲であった。

(他の同期と共に墜ちた部活の再生や、一緒に色恋沙汰に興じてみた仲でもあるのだが、これはまた別の話)

 

突然のことに戸惑いつつも、内心旧友からの久々の便りに高揚を覚えた。

 

とりあえず様子見で、元気にしてた?的なテンプレ返事をし、その後お互いの仕事の話や最近の近況等当たり障りのないやり取りをした。

 

 「ところで今週空いてる?」

 

最初に疑いを持った瞬間である。

 

いやいくら何でも急すぎるやろ。

 

しかし、久々に会いたかったのは事実なので、特に詳しい要件等は聞かず、馬鹿正直に空いてる日を告げる。

 

つくづく自分でもお人よしだなぁと思う。

 

「今やってる仕事がすごい儲かってるから、話しだけでも聞いて欲しいんだよね!」

 

激熱です。

 

これ見た瞬間、正直超ワクワクしました。別の意味で。

 

遂にこの俺にもこういう怪しい話が来たかと。

 

まあ一応俺にどうしてもどうしても会いたい余り、無理に口実を作った可能性もゼロじゃないので、会ってみることにしました。

 

どちらかというと人生経験のためというか、自分は正直者な点があるので、騙されないようにするにはまず一回騙されてみることが一番かなという意味合いがほとんどですが。

 

最後のチャンスとして、「久々にかつての同期と会えるの楽しみだわーと純粋な好意を向けて、良心を試してみるも、

「ファミレスで待ち合わせよう!!」

ときてこいつはもう駄目だと思いましたが。

 

 

  • オフ会当日

 

このやりとりの僅か数日後

 

夕方になって突然、

「実は一緒に働いてる先輩が今日教えに来ることになってるからよろしく!」

 

 

 

はい????????

 

 

かすかな希望が崩れ去った瞬間です。

 

(俺これでも今でもお前のこと友達と思ってたんだけどなぁ…)

 

悲しいですね、かつての仲間が目先の利益のために人間関係を犠牲にする人種に成り下がった様を目の当たりにして。

 

しかし今更後には引けないし、こうなったら面白半分でとことん付き合ってやろうと開き直ることにしました。

 

仕事を終えて複雑な心境のまま、待ち合わせ場所へ。

 

奴は車で現れました。

 

こんなことをされてもまだ、久しぶりーと興奮している自分がいて、こんな人間が騙されやすいだなあと思いました。

 

ファミレスで喋ってると、彼が入り口に反応を示したので目を向けると、いかにも胡散臭い女性が接近してきました。

 

コミュ障で根暗な自分ですが、不思議とあんまり緊張はしませんでした。

きっとかつての人生経験が生きているのでしょうか。

(ありがとう、ガールズバー)

 

ハイヒールは音を立て、ぬりかべみたいに厚い化粧、耳と胸元には輝くダイヤ。

 

挨拶もそこそこに早速話始めました。

 

ふと「友達だったもの」に目をやると、瞳を輝かせながらメモを取り出してました。

 

  • ~尋問開始~

 

まず、彼女は「将来への不安」について語りだしました。

Eさんとしておきましょう。

 

E「今実家暮らしてそこそこ貯金もあって、一定の収入もあるんだろうけど本当にこのままで老後生活できると思っているなら、それは間違いですよ!」

 

懐から取り出すipad

 

E「このデータによると、年金はとっくに払うだけ損であることは明白だし、今のうちに備えておかないと、老後はみんな破綻してしまうんです!!」

 

そのデータとやら、どう見ても民法の情報番組()を直撮りした写真なんですけど大丈夫ですか。

 

確かに言ってること自体は嘘ではないのかもしれませんが、スタートから全てを疑ってかかっている自分は何も情報が入ってきません。

 

E「なので今が安定してるから一生安泰は大きな誤りなんですよ!」

俺(明日の昼飯何にしようかなぁ)

 

その後も色々説明されて気づけば3時間経過。ただでさえ疲れてるのに小難しい話を延々とされてうんざりしてました。

 

しかしその中で感じたのは、話の上手さ

どう考えても根拠もない話なのに、尤もらしい言い分を聞いてると、とても説得力があるように感じてしまいます。

 

この話術に馬鹿は何人も騙されて来たんですね。

あっ今俺の隣にも哀れな教徒が一人いたわ。

 

私はマルチ商法とわかってても、この人物に話で勝つことは不可能と判断

ここは本気で信じ切ってる馬鹿を演じることにしました。

 

E「この商品を月一で定期購入して、知人2人に紹介してその人も始めると、なんとあなたに15%の報酬が入って来るのです!またその知人が別の誰かに紹介すると更に増えて、何もせずとも儲かる仕組みです!」

 

「日本は遅れているので、まだ一般に流通していませんが"アメリカ"では有名で、この方法でみんな稼いでいます!だから"アメリカ"は貧富の差が激しいんですよね、"アメリカ"は日本よりも発展している理由がここにあります」

 

俺「^^」

 

他にも、

E「この健康食品は体内の油を分解して、身体に脂肪が付きにくくします!医療に携わっている私が言うのだから間違いありません!」

 

その割にはマスクもせずにべらべらよく喋りますね。

 

E「会員登録すると海外旅行で半分以上ポイントが返ってきます!これは私がドバイで撮った写真です!」

 

これがボトムから巻き上げた金の行き先か…

 

今思うと色々突っ込みどころ満載でした。

 

一通り喋り終えると、契約の話に。ここで私がかけた保険が生きてくる。

 

年には念を入れて、あらかじめ財布の中身をほぼ空にしておきました。

もちろんクレカやキャッシュカードも家です。

 

E「3つの料金プランがありまして、やはりここは初期投資ということで一番高価な5000Pコースが…」

俺「あっ俺キャッシュレスなんで現金あまり持ち歩いてないんですよねー(棒)、印鑑も忘れました!一旦家で考えたいので書類だけ頂けないですか?」

E「いいですけど調べたり相談するよりも、私の言葉の方が信じられると思いますよー?ネットって嘘ばっかだし。だって実際にやってる私と何も知らない家族や"恋人"とどっちを信じるのかって話ですよ」

 

いやいや、勧誘する側で初対面のあなた信じるぐらいなら、ネットの記事鵜呑みにする方が遥かにマシでしょう。(その通りですねーはははは!!!)

 

 

適当に話切り上げて帰ろうとすると、

「じゃあ明日はzoomで他の先輩と質問する場を設けて入会前に疑問点を解消する場を設けましょう!!」

と勝手に事業を始める前提になりましたが、疲れたのでそそくさと後にしました。

 

帰り、今日誘って下さったマルチ商法の人が車で送ってくださるとのことで、乗ってると

 

「ここのプロテインマジでいいよー飲み始めは効果が実感できなかったけど、先輩に一度止めてみるとわかるって言われて、そうしたらすぐ体調悪くなったもん笑」

 

あぁ、本物の馬鹿だこいつ。

 

 

 

 

  • 続きはこのCMの後すぐ!! 

 

長くなったんで一旦ここまでにしときます。

 

ところどころ割愛したり、脚色はしてますが、概ね実話です。

 

次回、zoom通話編&後日談。

 

執筆モチベ残ってたら書きます。

 

世の中には美味しい話はそうそうないってことは、小学生でもわかるので気を付けよう!